講習の概要

現場で作業従事者を指揮する職長等が、作業前・作業中・異常時に必要な判断と指示を行えるようにする講習です。

管理者が整備した報告体制や緊急時手順を、朝礼、巡視、声かけ、バディ運用、作業離脱、身体冷却といった現場行動につなげます。

現場で必要なのは、「暑いので気をつけてください」という注意喚起だけではありません。誰の様子を見るか、いつ作業を止めるか、どこへ移すか、誰へ連絡するかを、職長等が迷わず指揮できる状態にすることです。

対象者

本教育の対象は、実際に現場で作業従事者を指揮・管理する役割を担う方を対象とします。

  • 作業従事者を直接指揮する職長等
  • 作業配置、作業前確認、巡視、声かけを行う方
  • 熱中症が疑われる場合に、作業離脱、身体冷却、報告、救急隊要請等の初動を指示する方
  • 協力会社や関係作業者を含め、現場の作業手順や緊急時対応を周知・確認する方

講習で扱う範囲

ガイドラインの教育事項を踏まえ、熱中症の症状、予防方法、緊急時の救急処置、事例、関係法令等を、職長等の現場判断に結び付けて扱います。

教育事項 時間 現場で扱う観点
熱中症の症状 10分 ふらつき、生あくび、大量発汗、けいれん、吐き気、反応がおかしい等の「いつもと違う」様子を見つける
熱中症の予防方法 25分 WBGT、作業強度、服装、暑熱順化、休憩、水分・塩分、単独作業回避を作業前・作業中に確認する
緊急時の救急処置 10分 作業離脱、身体冷却、報告、救急隊要請、医療機関搬送、一人にしない対応を指揮する
熱中症の事例 10分 初期症状の見逃し、本人任せ、一人で休ませる判断、連絡遅れなどを自現場の課題として確認する
関係法令等 5分 報告体制、手順、周知が現場で使える状態になっているか確認する

到達目標

受講後に、次の行動を現場で指揮できる状態を目指します。

  • 作業開始前に、朝食未摂取、睡眠不足、前日の多量の飲酒、体調不良、暑熱順化不足を確認する
  • WBGTや気温、身体作業強度、服装を踏まえ、作業時間の短縮、休憩、水分・塩分摂取を調整する
  • 健康状態又は暑熱順化の状況からリスクが高い作業従事者には、必要に応じて配置換え等を判断する
  • 単独作業を避け、バディ制や声かけを運用する
  • 熱中症が疑われる症状を見つけたら、本人の申出を待たずに作業から離す
  • 涼しい場所への移動、身体冷却、報告、救急隊要請を手順に沿って進める
  • 経過観察中や搬送までの間、熱中症が疑われる人を一人にしない

実施形式の選び方

複数拠点の職長等をそろえて共通認識を作る場合は、オンライン集合講習が向いています。実際の休憩場所、掲示、連絡動線、冷却資材まで確認したい場合は、現地講習が向いています。

既存の朝礼、KY活動、巡視記録、報告先掲示がある場合は、それらを前提に講習内容を調整します。新しい仕組みを増やすのではなく、職長等が日々の運用に組み込みやすい形にします。

講習後に使えるもの

  • 朝礼チェックリスト
  • 作業中巡視チェックリスト
  • 水分・塩分摂取確認表
  • バディ割当表
  • 報告先カード
  • 緊急時フロー掲示

職長等が講習内容を現場で繰り返し使えるよう、既存の帳票や掲示物に合わせて、必要な確認項目を整理します。

講習で確認する異常時初動

この講習では、熱中症が疑われる場面で、職長等がどの順番で指示を出すかを確認します。下記は、現場で迷いやすい初動を整理した例です。実際の運用では、貴社の報告先、休憩場所、緊急連絡先に合わせて調整します。

1いつもと違う様子を発見

ふらつき、反応がおかしい、吐き気、大量発汗などを見逃さない。

2作業から離す

本人の「大丈夫」だけで判断せず、暑熱環境から離す。

3涼しい場所で身体冷却

休憩場所へ移動し、衣服を緩め、水・氷・風などで冷やす。

4報告先へ連絡

あらかじめ定めた担当者、責任者、緊急連絡先へつなぐ。

5救急隊要請・医療機関へ

意識異常、水分摂取不可、判断に迷う場合は先送りしない。

6一人にしない

搬送中、救急隊到着まで、経過観察中は見守りを続ける。

現場で迷わせないために

熱中症が疑われる人を見つけたときに、本人の「大丈夫」という申出だけで判断しないこと、ためらわず作業から離すこと、身体冷却を始めること、必要に応じて救急隊要請や医療機関搬送につなげることを確認します。

医療機関までの搬送中、救急隊到着まで、経過観察中は一人にしません。単独作業の場合も、常に連絡できる状態を維持する運用を確認します。

ご相談ください

作業内容、人数、実施時期、現場で使っている朝礼・巡視の運用を伺い、職長等が実際に指揮しやすい講習内容に調整します。

職長等現場で作業従事者を指揮する者向け教育を相談する

主な参照資料: 厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」、令和8年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱、働く人の今すぐ使える熱中症ガイド。